こんにちは、岡山矯正歯科の院長 田川 淳平です。
「歯科衛生士として、もっと長く安心して働ける職場を探したい」「資格を活かして専門性を高めたい」「一般歯科での勤務に物足りなさを感じてきた」——そんな想いを抱えている方は、決して少なくありません。
実際、多くの歯科衛生士さんが仕事に対して「やりがい」「人間関係」「待遇」「キャリアアップ」などさまざまな課題を感じながら日々働いています。
一般歯科では、予防処置やスケーリング、歯周病ケアが中心の業務となりますが、その一方で単発的・ルーティンワークになりがちで、「患者さんとの関わりが浅く、感謝されにくい」「何年たっても同じ仕事の繰り返し」と感じる方もいます。
そんななか、近年注目を集めているのが【矯正歯科専門クリニック】での勤務です。
矯正歯科は、一般歯科と比べて診療スタイルも患者さんとの関わり方も大きく異なります。
矯正治療は1〜3年といった長期間にわたる治療が基本であり、その間、患者さんの成長や変化を間近で見守り、寄り添いながら支えていくという「継続的な医療」の特徴があります。
そして、その中核を担うのが、歯科衛生士さんです。
矯正装置の説明、ブラッシング指導、治療経過のサポート、精神的なフォローアップ——これらすべての業務において、患者さんとの信頼関係を築き、治療をスムーズに進めるうえで歯科衛生士の存在は欠かせません。
「矯正歯科は難しそう」「未経験でも大丈夫かな」「スケーリングがない分、仕事がつまらなくない?」そんな不安や疑問の声もありますが、実際には「想像以上にやりがいがある」「患者さんに心から感謝される職場」「長く働ける職場環境が整っている」と感じている衛生士さんが多く存在します。
この記事では、そんな矯正歯科の魅力を、歯科衛生士という立場から詳しく掘り下げていきます。
- 矯正歯科における歯科衛生士の具体的な業務内容
- 一般歯科との違いと、働きやすさ
- 給料や待遇の実情
- 求人選びで失敗しないポイント
- 資格やスキルアップの方向性
など、歯科衛生士として矯正歯科でキャリアを築くために必要な情報を網羅的にまとめています。
「ただの転職」ではなく、「将来を見据えた職場選び」が求められる今、矯正歯科で働くことはひとつの大きなチャンスになるかもしれません。
ぜひ、この記事を通して、新たな働き方の可能性を感じてみてください。
- 矯正歯科における歯科衛生士の役割とは?
- 歯科衛生士が矯正歯科で働くメリット
- 矯正歯科に勤める歯科衛生士の年収・給料事情
- 求人を探すときのチェックポイント
- 矯正歯科で求められる資格とスキル
- 長く働ける矯正歯科医院の特徴とは?
- 矯正歯科でキャリアを積むためのステップ
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:矯正歯科は歯科衛生士にとって理想的な職場!
1. 矯正歯科における歯科衛生士の役割とは?
矯正歯科での歯科衛生士の仕事は、一般歯科のイメージとは大きく異なります。
むし歯の治療や歯周病管理を中心とする一般歯科と違い、矯正歯科では「歯を動かす治療」「長期的な患者サポート」「心理的フォローアップ」が中心となるため、求められる役割もより“総合的”で“継続的”です。
たとえば、矯正歯科における主な業務は以下のようなものです。
- 初診相談の際のヒアリング・説明補助
- 矯正装置(マルチブラケット・マウスピースなど)の説明と指導
- 装着時・調整時のアシスタント業務
- 口腔内写真やX線撮影、セファロ分析の補助
- セルフケア指導(ブラッシング・フロス・装置清掃など)
- 矯正期間中のモチベーション維持のフォロー
- 保定装置の説明や、治療後の長期管理のサポート
中でも大切なのは、「患者さんと継続的に向き合う姿勢」です。
矯正治療は多くの場合1年以上、子どもであれば成長を見守りながら数年かかるケースも少なくありません。
そのなかで、毎月の調整や経過観察、口腔衛生のチェックを行うのは歯科衛生士。
患者さんと何十回と顔を合わせ、笑顔を交わし、悩みに耳を傾ける。その積み重ねが、治療の成功を支えるのです。
また、患者さんの多くは思春期の子どもや、結婚・就職前の大人など、“人生の転機”に矯正治療を選ぶ傾向があります。
そうした繊細な時期に寄り添う役割も、歯科衛生士にとって非常に重要です。
さらに、矯正装置には多くの種類があり、それぞれに注意点があります。
たとえば、マウスピース型矯正では着脱管理と清掃がポイントになり、ワイヤー矯正では食事指導や痛みのケアも求められます。
こうしたきめ細やかな指導ができるのは、歯科衛生士ならではの強みです。
加えて、近年ではデジタル機器の導入も進んでおり、口腔内スキャナーやデジタル模型作成の補助など、より高度なスキルが求められる場面も増えてきました。
これらの技術に触れることで、歯科衛生士としてのキャリアにも大きな広がりが出てきます。
患者さんからは「この矯正装置、ちゃんとつけられてますか?」「痛みがあるんですが大丈夫ですか?」といった質問や不安が寄せられます。
そんなときに、やさしく丁寧に説明し、励ましながらモチベーションを支えるのも、矯正歯科の歯科衛生士の大切な仕事です。
つまり、矯正歯科での歯科衛生士は「技術者」であり「指導者」であり「心理的サポーター」でもあるのです。
「人と関わることが好き」「ひとりの患者さんと深く長く関わりたい」「感謝される仕事がしたい」という方にとって、これほどやりがいのある職場はないと言えるでしょう。

2. 歯科衛生士が矯正歯科で働くメリット
矯正歯科で働くことは、歯科衛生士としての「働きがい」と「働きやすさ」の両方を満たす選択肢です。
以下では、矯正歯科で勤務することの魅力について、より具体的に詳しく掘り下げてご紹介します。
① 患者さんと長期にわたって信頼関係を築ける
一般歯科では数か月に一度の頻度での来院となるケースが多いため、どうしても患者さんとの関係性は疎になりがちです。
しかし、矯正治療は基本的1,2か月に一度の頻度え数年に渡っての通院が必要になるため、患者さんと頻繁に継続的に顔を合わせることになります。
そのなかで、患者さんの不安や悩みに寄り添いながら、「一緒にゴールを目指すパートナー」としての信頼関係が築かれていきます。
特に思春期の子どもや大人の女性患者さんにとって、同性である歯科衛生士の存在は非常に大きく、「話しやすい」「安心感がある」と感じてもらえることが多いのです。
治療が終わった際に「〇〇さんがいてくれて心強かったです」「最後まで続けられたのはあなたのおかげです」と直接感謝の言葉をもらえることも多く、それが大きなやりがいにつながります。
② 矯正分野の専門性が身につき、キャリアの差別化になる
歯科衛生士として「他の人と差別化されたスキルを持ちたい」と考えている方にとって、矯正歯科での経験は非常に価値があります。
矯正装置の種類、歯の移動メカニズム、成長発育に応じた治療戦略、口腔内写真やセファログラムの知識、マウスピース型矯正の管理など、多岐にわたる専門知識が求められます。
これらは一般歯科だけでは得にくい経験であり、他院への転職時やパート復帰時にも強みになります。
実際、求人票でも「矯正経験者優遇」と書かれていることは少なくありません。
専門性を持った衛生士としてのキャリアアップには、大きなアドバンテージとなるのです。
③ 体力的・精神的な負担が軽減されやすい
矯正歯科では、一般的に1日の診療患者数が少なく、スケーリングを行う頻度も少ないため、仕事での腰や肩にかかる負担が軽減される傾向にあります。
スケーリングを1日に何十人も続けて行うようなことは少なく、代わりにカウンセリングや指導、写真撮影、装置の管理など「頭と手を使う」業務が多くなります。
また、患者さんが大きな痛みを抱えて来院するような急患対応も少ないため、診療時間も安定しており、精神的なストレスも少ないという声が多く聞かれます。
長時間の緊張感やイレギュラー対応による疲弊が起きにくく、プライベートとの両立もしやすい勤務スタイルです。
④ キレイな職場環境・ホスピタリティが整っている
矯正歯科医院は自費診療中心のクリニックが多いため、内装や設備に力を入れているところが多く見られます。
清潔感のある診療室、おしゃれな受付や待合室、明るいユニフォーム、最新のデジタル機器など、働くモチベーションが高まる環境が整っているのも魅力の一つです。
また、患者さんの満足度を大切にする医院が多いため、スタッフ間の接遇教育やコミュニケーション力の向上にも積極的な傾向があります。
おもてなしの心を育てることで、自分自身の人間力も磨かれていきます。
⑤ ライフイベントと両立しやすい柔軟な働き方ができる
結婚・出産・育児など、女性ならではのライフイベントに対して理解のある医院が多いのも矯正歯科の特徴です。
矯正歯科の知識・技術を得た歯科衛生士さんはとても貴重なため、ライフイベントにより時短の勤務になったとしても、クリニックとしては継続して働いてもらいたいと考えることが多いのです。
院長自身が女性であったり、ママさん衛生士が多く在籍していたりと、「育児と両立しながら働く」というモデルが確立されているケースも珍しくありません。
- 時短勤務OK
- 急な子どもの体調不良にも対応
- 長期ブランク明けの復職支援あり
といった柔軟な働き方を許容してくれる職場も増えてきており、出産後も安心して戻ってこられる環境が整いつつあります。

3. 矯正歯科に勤める歯科衛生士の年収・給料事情
「やりがいは大切だけれど、やっぱりお給料も気になる」というのは当然のことです。
ここでは、矯正歯科で働く歯科衛生士の給料や年収事情について、具体的な数値や傾向を踏まえて詳しく解説していきます。
地域別の給料相場
矯正歯科に勤務する歯科衛生士の給与は、都市部か地方かによってやや異なります。
以下はあくまで平均的な目安です。
地域 | 月給(新卒) | 月給(経験者) | 年収目安(経験者の正社員) |
---|---|---|---|
東京・大阪 | 24万〜27万円 | 27万〜32万円 | 400万〜500万円 |
地方都市(岡山・広島など) | 21万〜24万円 | 25万〜30万円 | 370万〜450万円 |
郊外・地方 | 20万〜23万円 | 23万〜27万円 | 330万〜420万円 |
矯正歯科は自費診療中心のため、保険点数に縛られた一般歯科よりも収益性が高く、その分スタッフへの還元(昇給・賞与・福利厚生)も手厚くなる傾向があります。
経験・スキルによる昇給のチャンスが多い
矯正歯科では「経験年数」や「対応できる業務範囲」によって評価される場面が多いため、勤続年数を重ねたり、新しい装置や管理業務に携わることで、着実に昇給が期待できます。
- 口腔内スキャナーを扱える
- マウスピース矯正の指導ができる
- カルテ入力や予約管理ができる
- 新人教育を任されている
といったスキルがある場合、基本給に反映されたり、役職手当・技能手当が支給されるケースもあります。
院長がスタッフのスキルアップに積極的な医院ほど、その成果が正当に評価されやすくなります。
パート勤務でも高時給のケースが多い
矯正歯科では、パート衛生士も歓迎されることが多く、時給相場も比較的高めです。
- 未経験者:1,200〜1,400円
- 経験者:1,400〜1,800円
- 特殊業務対応(マウスピース矯正の管理など):2,000円以上も可
午前中のみ、週2〜3日の勤務でも、効率的に収入を得られるため、子育て世代のママ衛生士からも人気があります。
場合によっては「扶養内での勤務希望」も相談可能な医院もあります。
福利厚生・待遇面での差も要チェック
給与だけでなく、福利厚生の充実度も矯正歯科の魅力のひとつです。
以下のような待遇が整っている医院が多い傾向にあります。
- 交通費全額支給
- 制服貸与・クリーニングあり
- 賞与年2回(業績に応じて)
- セミナー参加費補助
- 育児・介護休暇制度
- 残業手当・有給取得率の高さ
こうした待遇が整っている医院ではスタッフの定着率が高く、働きやすさにもつながります。
求人票では分かりにくい部分も多いため、見学や面接でしっかり確認することが大切です。
4. 求人を探すときのチェックポイント
矯正歯科で働きたいと考えたとき、「どんな医院を選べば安心して長く働けるのか?」という疑問は多くの歯科衛生士さんに共通する悩みです。
ただし、求人票に書かれている情報だけではわからない点も多く、実際に働き始めてから「こんなはずじゃなかった」とギャップを感じてしまうこともあります。
ここでは、矯正歯科の求人を探す際に必ずチェックしておきたい項目を、具体例を交えて徹底的に解説します。
① 教育体制が整っているか(未経験者にも安心)
矯正歯科の業務は特殊で、一般歯科では経験しないような機器や処置が多くあります。
そのため、未経験の衛生士さんがスムーズに仕事を覚えるには「教育体制」がしっかりしている医院を選ぶことが重要です。
以下の点をチェックしましょう。
- マニュアルや業務手順書があるか
- 院内勉強会や外部セミナーへの参加支援があるか
- 教育担当の先輩衛生士がついてくれるか
- 一人で任されるまでに練習期間があるか
見学や面接の際には「未経験者の受け入れ実績はありますか?」「教育期間はどれくらいですか?」といった質問をしてみると、医院の教育方針が見えてきます。
② スタッフ間の人間関係と院内の雰囲気
人間関係は働きやすさを大きく左右する要素です。
とくに矯正歯科では患者さんとの関係が長期にわたるため、スタッフ間のチームワークやコミュニケーションが重要になります。
チェックすべきポイントは以下の通りです。
- スタッフ同士が協力し合っているか
- 院長がスタッフを大切にしているか
- 年齢構成や勤続年数
- 面接・見学時の対応が丁寧かどうか
実際に見学をしてみると、挨拶の声の大きさ、スタッフの表情、休憩時間の様子などから雰囲気を感じ取ることができます。
「安心して働ける職場かどうか」は給与以上に重要な要素です。
③ シフト・勤務時間・残業の実態
勤務時間や残業の有無は、仕事とプライベートのバランスを保つうえで非常に重要です。
矯正歯科は土日診療や夜間診療を行っている医院も多いため、ライフスタイルに合った勤務体制かどうかを必ずチェックしましょう。
- 平日のみ or 土日勤務あり
- 週休2日制か完全週休2日制か
- 残業が発生する頻度と時間
- 有給休暇の取得率や雰囲気
- 突発的な休みに対する理解度
医院によっては「診療時間は18時まででも、片付けで毎日残業が当たり前」というケースもあるため、見学の際に実際の勤務風景を確認しておくと安心です。
④ キャリアアップの支援体制
長く働いていくうえで、「今後どんなスキルが身につくか」「成長を評価してもらえるか」はモチベーションの維持に直結します。
- 矯正に関するセミナー受講支援
- 院内でのステップアップ制度(例:教育係など)
- 昇給・賞与にスキル評価が反映される仕組み
などが整っている医院では、成長を実感しながらやりがいをもって働き続けることができます。
求人票に明記されていない場合でも、面接で「どのようにスキルアップできますか?」と質問してみましょう。

5. 矯正歯科で求められる資格とスキル
矯正歯科で働くには、まず第一に「歯科衛生士の国家資格」が必要です。
これは当然のことですが、それだけで十分かというと、答えはNOです。
矯正歯科では、より専門的な知識とスキルが求められるため、日々の努力と継続的な学びが大きな武器になります。
この章では、矯正歯科で求められる資格やスキル、そしてそれらをどのように身につけていくべきかについて詳しく解説していきます。
① 基本となる国家資格:歯科衛生士免許
当然ながら、歯科衛生士として働くには国家資格が必須です。
そのため、専門学校や短期大学、大学などの衛生士養成課程を卒業し、国家試験に合格することがスタートラインとなります。
② 矯正歯科ならではの専門スキル
矯正歯科において、即戦力として重宝されるスキルは以下の通りです。
- 矯正装置(マルチブラケット、マウスピースなど)の知識
- 口腔内スキャナー(iTeroなど)の操作
- セファロなどレントゲン撮影の補助
- 咬合・成長発育の基礎知識
- 患者指導スキル(ブラッシング、食事指導、モチベーション管理)
- 写真撮影スキル(口腔内写真・顔貌写真の撮り方)
これらは未経験でも少しずつ学べるものですが、最初に基本を丁寧に教えてもらえる医院を選ぶことが重要です。
③ パソコンやITツールの操作能力
矯正歯科ではデジタル化が急速に進んでおり、アナログだけではなくITリテラシーも問われるようになっています。
たとえば、
- 電子カルテの操作
- 写真・動画の取り込み・整理
- 予約管理システムの利用
- 矯正用ソフトウェア(ClinCheckなど)の閲覧サポート
などの業務が日常的に発生します。
PCやタブレットの操作が得意であれば、業務をスムーズに進めることができ、評価にもつながります。
④ ヒューマンスキル:説明力・共感力・観察力
矯正歯科では、患者さんに対して装置の使い方を説明したり、不安に寄り添ったりする場面が多いため、技術面だけでなく「人間力」も非常に重要です。
- 難しいことを分かりやすく伝える力
- 子どもや保護者との信頼関係を築く力
- 患者さんの表情や変化に気づく観察力
こうしたスキルは、日々の診療のなかで少しずつ磨かれていくものですが、「この人が担当でよかった」と思われる歯科衛生士になるための大きな要素となります。
6. 長く働ける矯正歯科医院の特徴とは?
歯科衛生士として矯正歯科に就職・転職するうえで、もっとも重要なのは「安心して長く働ける職場かどうか」です。
いくら給料が良くても、人間関係が悪かったり、サポート体制が整っていなければ、早期退職やキャリアの停滞につながりかねません。
では、「長く働ける矯正歯科医院」とはどのような特徴を持っているのでしょうか?
実際の事例や、退職理由の傾向を踏まえながら、信頼できる職場を見極めるためのポイントを解説します。
① 院長がスタッフの成長に関心を持っている
院長の人柄や考え方は、医院全体の雰囲気を大きく左右します。
スタッフの成長や働きやすさを真剣に考えてくれる院長がいる矯正歯科医院では、安心してスキルアップができ、モチベーションを保ちながら働き続けることができます。
たとえば、
- 衛生士に責任ある仕事を任せてくれる
- 定期的な面談で悩みや希望を聞いてくれる
- 研修や勉強会への参加を積極的に応援してくれる
- 業務への歯科衛生士の意見を聞いてくれる
こうした院長がいる職場では、やりがいを感じながら主体的に働けるため、定着率も高い傾向があります。
② 衛生士の裁量が広く、成長できる業務がある
「ただのアシスタント」や「診療補助」ではなく、歯科衛生士としての専門性を活かせる職場かどうかは重要なチェックポイントです。
長く働くうえでは、「患者さんと向き合う時間が確保されているか」「衛生士の判断でできる業務があるか」といった“裁量のある働き方”ができる職場が理想的です。
具体的には、
- 治療説明やモチベーション管理を任せてもらえる
- 新人衛生士の教育係を経験できる
- カルテ記載や口腔内スキャンの補助など、責任ある業務に携われる
こうした環境では、歯科衛生士としての価値を実感しやすく、仕事へのやりがいが自然と育まれていきます。
③ スタッフ同士の関係が良好で、相談しやすい雰囲気
人間関係のストレスがない職場は、それだけで大きな魅力です。
とくに小規模な医院では、スタッフ間の関係性が職場全体の空気感に直結します。
良い職場では、以下のような特徴が見られます。
- 新人スタッフにも優しく教えてくれる
- 休憩時間に雑談があるなど、雰囲気が明るい
- 年齢や経験に関係なく相談しやすい
- 院長とスタッフの間に壁がなく、風通しが良い
「お互いに助け合える風土」がある職場では、自然と長く働ける文化が育っています。
逆に、陰口が多い、退職者が頻繁に出る、スタッフの入れ替わりが激しい医院は注意が必要です。
④ 働きやすさを支える制度・設備が整っている
制度や設備面も、働きやすさを左右する大きなポイントです。
とくに女性スタッフが多い職場では、ライフステージに合わせたサポート体制があると、長く安心して勤めることができます。
- 育休・産休の実績があるか
- 有給が取りやすい雰囲気か
- 残業が少ない、または残業代がしっかり支給されるか
- 社会保険や交通費などの福利厚生が整っているか
- スタッフ専用のロッカールームや休憩室があるか
さらに、口腔内スキャナーやデジタルレントゲンなどの設備が整っている職場では、効率的に仕事ができるうえ、先進的な知識も学べます。
⑤ スタッフの定着率が高い
「長く働ける職場かどうか」を知る最もシンプルな指標が「スタッフの定着率」です。
- 5年以上勤めている衛生士がいる
- パートスタッフが長年勤務している
- 新卒がそのまま継続勤務している
こうした実績のある医院は、働きやすさが自然と証明されているといえます。
見学の際には「何年働いているスタッフが多いですか?」と聞いてみるのも良い方法です。
7. 矯正歯科でキャリアを積むためのステップ
矯正歯科は、スキルアップの幅が広く、継続的に学び続けることでキャリアを積みやすい分野です。
歯科衛生士として矯正専門分野で長く活躍するためには、「日々の積み重ね」と「成長への意欲」が重要です。
ここでは、矯正歯科で働きながらキャリアアップを目指すための具体的なステップを7つの段階に分けて紹介します。
ステップ①:まずは「矯正治療の全体像」を理解する
矯正歯科の現場に入ったら、まずは患者さんの治療の流れを頭に入れましょう。
- 初診カウンセリング
- 精密検査(レントゲン・写真・模型採得)
- 診断と治療計画の説明
- 装置装着
- 定期調整
- 保定期間(リテーナー)
この一連の流れを把握することで、「今この患者さんはどの段階にいて、何を求めているのか?」を意識しながら業務に取り組めるようになります。
ステップ②:矯正装置や器具の名称・使用目的を覚える
矯正歯科では、一般歯科よりも多くの器具や用語が登場します。
ワイヤー、ブラケット、リガチャータイ、エラスティック、バイトブロック、アライナーなど、それぞれの役割を理解することが、業務の正確さとスピードに直結します。
マウスピース矯正(インビザラインなど)においても、アタッチメント、IPR(歯間削合)、アライナーのステージ数などを理解することが重要です。
ステップ③:口腔内写真・顔貌写真の撮影をマスターする
写真撮影は矯正歯科において非常に重要な業務です。
診断、治療計画、経過観察、患者説明など、すべての場面で使われます。
- 口角鉤の使い方
- 明るさや角度の調整
- 前・側・咬合などの構図を正確に撮る技術
をしっかり習得しておくことで、診療の質もアップし、院長や患者さんからの信頼も高まります。
ステップ④:患者さんとの信頼関係を築くスキルを磨く
矯正治療は長期にわたるため、「継続して通ってもらう」「装置の管理をしっかりしてもらう」ためには、患者さんとの信頼関係が欠かせません。
- わかりやすく丁寧な説明
- 小さな変化や表情に気づく観察力
- 雑談を交えたコミュニケーション
- 年齢や性格に応じた接し方
こうしたスキルを身につけていくことで、「〇〇さんが担当で良かった」と思ってもらえるような存在になれます。
ステップ⑤:矯正装置の取り扱いや調整の補助スキルを習得する
矯正装置の着脱や調整の補助も、矯正歯科衛生士の重要な業務です。
- マウスピースの適合チェック
- アタッチメントの装着・調整補助
- ワイヤー矯正のワイヤー着脱補助
- 顎間ゴムの指導
- 保定装置の説明
など、患者さんへの指導をスムーズに行えるようになると、医院にとって欠かせない存在となります。
ステップ⑥:学会やセミナーで知識をアップデートする
矯正歯科は技術革新のスピードが早く、新しい装置や治療法が次々と登場します。
- 著名なドクターによるセミナー
- 矯正に関する講演
- 日本矯正歯科学会への参加
- オンラインでの動画研修やe-ラーニング
こうした場で知識をアップデートし続けることで、どの医院でも通用するプロフェッショナルになれます。
ステップ⑦:教育係やリーダー的ポジションを目指す
ある程度の経験を積んだら、後輩の育成や院内教育にも関わってみましょう。
- 新人指導
- 院内マニュアルの作成
- 勉強会の企画
- チーム内の意見調整やサポート
など、チームをまとめる力を発揮することで、リーダー衛生士として活躍の幅が広がります。
将来的に「衛生士長」や「院内教育担当」といった役職につくことも可能です。

8. よくある質問(FAQ)
ここでは、実際に矯正歯科で働くことを考えている歯科衛生士さんから寄せられることが多い質問と、その回答を詳しく紹介します。
不安や疑問を一つひとつ解消することで、自信をもって一歩を踏み出せるようにサポートします。
Q1. 矯正歯科は未経験でも働けますか?
A. はい、未経験からスタートする歯科衛生士さんもたくさんいます。
多くの矯正歯科医院では、未経験者を受け入れており、教育体制が整っている場合がほとんどです。最初の数週間〜数か月は、矯正装置の種類や業務の流れを一つひとつ学ぶ期間として位置づけられています。先輩歯科衛生士がマンツーマンでサポートしてくれる矯正歯科医院も多く、「何も知らなかったけど、今ではメインで患者指導を担当しています」といったケースも珍しくありません。
大切なのは、分からないことを素直に質問する姿勢と、少しずつ慣れていく努力です。むしろ、固定観念がない分、素直に吸収できるという点で未経験者のほうが伸びやすいという声もあります。
Q2. スケーリングやTBIは全然しないの?
A. 一般歯科に比べれば頻度は少ないですが、必要な場面では行います。
矯正歯科では、むし歯や歯周病の治療をメインに行うことは少ないため、日常的なスケーリング業務はそれほど多くありません。ただし、装置によって磨き残しが出やすい部位や、保定期間中にPMTCを行う場合など、TBIや簡単なクリーニングをする機会は一定数あります。
また、小児矯正の分野では、定期管理の一環としてフッ素塗布や口腔衛生指導を行うこともあります。「衛生士としてのスキルが錆びるのでは?」と心配されることもありますが、他では得られない“矯正ならではの技術と視点”が身につくため、むしろプラスになることが多いのです。
Q3. マウスピース矯正とワイヤー矯正では仕事内容に違いがありますか?
A. はい、それぞれに異なる業務がありますが、どちらもやりがいがあります。
マウスピース矯正(インビザラインなど)は、患者さん自身で装置を管理する必要があるため、以下のようなサポート業務が中心となります。
- 装着・取り外しの指導
- 清掃方法の指導
- アライナーの適合確認
- アタッチメント装着の補助
- スキャンデータの確認と管理
一方、ワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤーを扱うため、以下のようなアシスタント業務が求められます。
- 調整器具の準備と片付け
- 歯科医師の指示のもとでのワイヤーの着脱やリガチャーワイヤーやエラスティックによる結紮
- 装置による口腔内トラブルの確認
- 歯ブラシ指導や食事指導
医院によってどちらの矯正をメインにしているかが異なるため、面接時に「どの矯正方法を多く取り扱っていますか?」と確認することをおすすめします。
Q4. 子育て中でも働けますか?
A. はい、家庭と両立しながら働くママ歯科衛生士さんも多くいます。
近年では、時短勤務や扶養内勤務に対応している矯正歯科医院も増えてきました。とくに女性院長や、スタッフに子育て経験者が多い医院では、急な発熱や学校行事への配慮など、柔軟に対応してもらえるケースが多くあります。
- 午前のみ勤務OK
- 土日どちらかのみ勤務可能
- 長期休み中は時短に変更OK
など、働き方の相談がしやすい医院を選ぶことがポイントです。見学時に「子育て中のスタッフはいらっしゃいますか?」と尋ねてみると、実情が見えてきます。
Q5. 転職前に医院の雰囲気を知る方法はありますか?
A. はい、見学や体験勤務を受け入れている医院も多くあります。
求人票やホームページの情報だけでは分からないのが、「スタッフの雰囲気」や「業務の流れ」。だからこそ、事前に見学や体験勤務ができる医院を選ぶことが大切です。
見学時のチェックポイント:
- 挨拶や声かけがあるか
- スタッフ同士の雰囲気
- 患者さんとの接し方
- 診療の流れや衛生面の管理状況
実際に見て、感じて、納得してから働き始めることが、長く続けるための第一歩です。
9. まとめ:矯正歯科は歯科衛生士にとって理想的な職場!
この記事では、「矯正歯科で働く歯科衛生士の魅力」について、業務内容、メリット、年収、求人の探し方、必要な資格、キャリアアップの方法など、あらゆる側面から詳しくご紹介してきました。
改めて、矯正歯科が歯科衛生士にとってなぜ“相性抜群”なのか、整理してみましょう。
● やりがいのある仕事内容
矯正歯科では、患者さんの長期治療に関わることで、深い信頼関係が築けます。「笑顔が変わった」「自信が持てるようになった」といった変化を間近で見ることができ、心から感謝される職場です。
● 働きやすい環境が整っている
自費診療中心で経営が安定している医院が多く、設備・待遇面が充実。教育制度やチームワークが整っており、残業も少なめ。子育てとの両立も可能で、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができます。
● キャリアアップの可能性が広い
矯正装置の知識や口腔内スキャン、患者指導など、一般歯科では得られない専門スキルが身につきます。セミナー参加や医院での勉強を重ねれば、将来的には教育係やチーフ衛生士といった立場も目指せます。
● 安定した収入と待遇
月給や時給の水準が高めで、昇給・賞与も期待できる職場が多いです。未経験からでも学びながらステップアップできるため、長期的に安定したキャリア形成が可能です。
● 自分らしく、長く働ける
「人と関わるのが好き」「衛生士の資格をもっと活かしたい」「家庭も大切にしたい」そんな想いを持つ方にとって、矯正歯科は理想的な選択肢です。
今、歯科衛生士として「もっとやりがいを感じたい」「働き方を見直したい」と思っている方こそ、矯正歯科という選択肢をぜひ前向きに検討してみてください。
あなたの経験・スキル・人柄は、矯正の現場で確実に活かされ、評価されます。
新しい環境で、一歩踏み出す勇気がきっと未来を変えてくれるはずです。
岡山県岡山市の岡山駅前にある岡山矯正歯科では、一緒に働いてくれる歯科衛生士さんを募集中です。
新しい環境、患者さんの笑顔を作る矯正歯科にご興味ありましたら、ぜひ一緒に働きましょう。
ご興味のある方は下のボタンから、まずは見学だけでもお越しくださいね♪