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医療コラム
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2024.10.25

【矯正後の保定はなぜ重要?リテーナーの費用や期間】


こんにちは、岡山矯正歯科の院長 田川 淳平です。

矯正治療が終わった時、多くの患者さんは「これで治療が完了した」と考えがちですが、実際にはそれに続く保定というプロセスが非常に重要です。

保定を怠ると、せっかく得た美しい歯並びが時間とともに崩れることがあるため、保定装置を正しく使い続けることが求められます。

この記事では、矯正後の保定がなぜ必要なのか、どのような保定装置(リテーナー)があるのか、費用や装着期間(いつまで)、保定装置(リテーナー)が外れた場合の対処法、そして保定装置(リテーナー)がMRIに与える影響など、詳しく解説します。

  1. 保定とは何か?
  2. 保定装置(リテーナー)の種類と選び方
  3. 保定期間はいつまで続けるべきか?
  4. 保定装置の費用:長期的なコストを考慮する
  5. 保定装置(リテーナー)が外れた場合の対応策
  6. 保定装置とMRI:注意点は?
  7. 矯正治療後の保定の重要性
  8. まとめ
保定装置のイメージ
保定装置のイメージ

1.保定とは何か?

矯正治療後に行う保定(リテーナーの使用)は、歯が新しい位置に安定するのをサポートするための重要なステップです。

歯が動く過程で周囲の骨や歯ぐきの組織が作り変えられていきますが、歯やその周囲の組織が新しい位置に適応するためにはとても長い時間が必要です。

保定をしなければ、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」という現象が起こり、矯正治療の効果が失われてしまいます。

さらに、歯は咬合(噛み合わせ)や舌、唇、頬などの筋肉の圧力に反応して動く性質があります。

矯正治療中に歯は意図的に新しい位置に動かされますが、その動いたばかりの歯は安定しておらず、筋肉の力によっても元の位置に戻りやすいのです。

ここで保定装置(リテーナー)を使い、しっかりと支えることで歯が新しい位置に定着し、後戻りを防ぐことができます。

2.保定装置(リテーナー)の種類と選び方

矯正治療後の保定装置(リテーナー)にはいくつかの種類があり、患者さんのニーズやライフスタイル、矯正治療の内容に応じて適切なものが選ばれます。

それぞれの装置にはメリットとデメリットがありますので、しっかりと理解して選ぶことが大切です。

2-1.固定式保定装置(ワイヤーを歯に接着するリテーナー)

固定式保定装置は、歯の裏側にワイヤーを接着するタイプの保定装置(リテーナー)です。

通常、前歯に固定され、取り外しはできません。

歯の裏に固定されているため、見た目にはほとんど影響がなく、常に歯を支えることができます。

メリット

  • 常に固定されているため、患者さんが装着を忘れる心配がない。
  • 外見に影響を与えないため、審美的な配慮が必要な場合に適している。
  • 保定効果が安定しているため、後戻りのリスクが低い。

デメリット

  • 歯の裏側にワイヤーがあるため、歯磨きやフロスがしにくい場合がある。
  • ワイヤーが緩んだり外れたりする可能性があり、その際は歯科医院で修正が必要になる。
  • 前歯に金属やセラミックなどの「かぶせ」が入っている場合には接着剤が付かないため、使用できない。

固定式保定装置は、特に前歯の位置を安定させるのに非常に効果的です。

これらの歯は小さい動きでも見た目や噛み合わせに大きな影響を与えるため、固定式保定装置によって長期間安定させることが推奨されます。

2-2.可撤式保定装置(取り外し可能なリテーナー)

可撤式保定装置は、取り外し可能な保定装置(リテーナー)です。

可撤式保定装置には、透明なマウスピース型の装置やワイヤーとプラスチックからできているマウスピース型の装置があります。

この装置は患者自身が取り外すことができ、食事や歯磨きの際に外すことが可能です。

また、透明なタイプは装着中も目立たず、審美的な面で人気があります。

メリット

  • 透明なタイプは目立たないため、装着していることが他人にわかりにくい。
  • 食事や歯磨きの際に取り外せるため、口腔内を清潔に保ちやすい。
  • お手入れが簡単で、装置自体を洗浄することが可能。

デメリット

  • 装着を忘れたり、長時間外してしまうと、保定効果が薄れる可能性がある。
  • 透明なタイプは耐久性が低いため定期的に新しいマウスピースに交換する必要があり、その際に費用がかかる。
  • 装着を怠ると歯が再び動くリスクがあるため、自己管理が必要。

このタイプの保定装置(リテーナー)は、特に頻繁に取り外しをしたいというライフスタイルを持つ人に適しています。

ただし、装着を忘れることがないように、常に意識して使用することが重要です。

透明なマウスピース型の可撤式保定装置のイメージ
透明なマウスピース型の可撤式保定装置のイメージ

2-3.リテーナーのメンテナンスと長期的な使用

保定装置を長期的に使用するためには、適切なメンテナンスが不可欠です。

固定式保定装置の場合は、歯科医院で定期的にチェックしてもらい、ワイヤーが外れたり緩んでいないか、または装置に異常がないか確認することが大切です。

もしワイヤーが外れた場合、歯が再び動く可能性があるため、早急に歯科医院で付け直す必要があります。

可撤式保定装置の場合は、装置を日常的に清潔に保ち、歯科医師に指示された通りの使用方法を守ることが重要です。

マウスピースは使用していると細菌や食べかすが付着しやすく、定期的に洗浄することで口腔内の健康を保つことができます。

洗浄液や専用ブラシを使ってケアをすることで、装置の寿命も延びます。

また、歯科医師に指示された通りの着脱方法を守らないと、装置に大きな負荷がかかり、破損するリスクがあるため、必ず指示は守るようにしましょう。

3.保定期間はいつまで続けるべきか?

保定装置(リテーナー)をいつまで、どのくらいの期間装着すべきかというのは、矯正治療を受けた患者さんにとって非常に重要な質問です。

歯が新しい位置に定着するまでには時間がかかり、その期間は矯正治療の内容、個々の歯の動き方によって異なります。

一般的には、少なくとも2年間は保定装置(リテーナー)を使用することが推奨されていますが、場合によってはそれ以上の期間が必要になることもあります。

3-1.保定装置の装着期間の目安

  • 1年目:矯正治療後の最初の1年は、歯が最も動きやすい期間です。この期間中は、リテーナーを24時間装着し、歯がしっかりと新しい位置に定着するのを助けます。ただし、可撤式保定装置の場合には食事や歯磨きの際には取り外します。
  • 1年目以降:歯が少しずつ安定してきた場合、可撤式保定装置であれば、夜間のみの装着に移行することが一般的です。
  • 長期的な保定:歯の動きが完全に止まるには何年もかかる場合があり、場合によっては一生涯リテーナーを使用することが推奨されることもあります。特に、年齢を重ねることで歯並びが変化する可能性があるため、長期的にリテーナーを使用することで美しい歯並びを維持することができます。

3-2.なぜ「いつまで」保定装置を使う必要があるのか?

保定期間が終わった後でも、歯は微妙に動く可能性があります。

矯正治療を受けていない方でも、歯は一生涯に渡り、動き続けていくものです。

年齢とともに歯並びが変わるため、矯正治療を受けた後は、歯の位置が完全に固定されるわけではありません。

例えば、加齢に伴う歯の移動や、日常生活での噛み合わせの変化などが原因で歯が再び動く可能性があります。

そのため、リテーナーを継続することで、長期間にわたって矯正治療の成果を維持する必要があるのです。

4.保定装置の費用:長期的なコストを考慮する

保定装置(リテーナー)の費用は、使用する装置の種類や地域によって異なりますが、保定は矯正治療の重要な一部であるため、長期的な費用を考慮しておくことが大切です。

以下に、一般的な保定装置(リテーナー)の費用を示します。

4-1.固定式保定装置の費用

固定式保定装置は、上か下かの片方で通常3万〜5万円程度の費用がかかります。

固定式であり、再装着の必要がないため、一度設置すれば長期間使用することが可能です。

ただし、ワイヤーが緩んだり外れた場合は、歯科医院での修正や再装着が必要になるため、その際に追加費用が発生することがあります。

また、装着している近くの部分がむし歯になってしまった場合には、むし歯治療のために固定式保定装置を一旦外す必要があることもあり、その場合にもむし歯治療の後に再装着のために追加費用が発生します。

4-2.可撤式保定装置の費用

可撤式保定装置は、上か下かの片方で通常3万〜6万円の範囲で提供されています。

取り外しが可能だったり、マウスピース型のものは透明なため人気がありますが、定期的に新しいものに交換する必要があるため、長期的なコストがかかることがあります。

また、装置を破損したり紛失した場合には、追加の費用が発生することもあります。

5. 保定装置(リテーナー)が外れた場合の対応策

保定装置(リテーナー)が外れたり、壊れたりした場合、速やかに歯科医師に連絡し、対処することが必要です。

固定式保定装置の場合、ワイヤーが外れると歯が再び動くリスクがあり、特に矯正治療直後の歯は安定していないため、早急な対応が求められます。

可撤式保定装置の場合は、破損や紛失が起こった際には新しい装置を用意してもらう必要があります。

特にマウスピース型のものは割れることもあります。

6.保定装置とMRI:注意点は?

固定式保定装置が口の中にある場合、MRIを受ける際には事前にお医者さんや歯科医師に相談することが重要です。

MRIは強い磁場を使用して画像を撮影するため、金属製のワイヤーがあると画像に影響を与えることがあります。

そのため、口の近くの頭部のMRIの場合には、必要に応じて保定装置のワイヤーを一時的に取り外すことが推奨される場合があります。

ただ、お腹や足などの口から遠く離れた部位のMRIの場合には、ワイヤーが画像に影響することは全く無いため、取り外す必要はありません。

可撤式保定装置は撮影時に外せば、MRIに影響を与えることは全く無いため、外してMRIを撮影しましょう。

7.矯正治療後の保定の重要性

保定は、矯正治療の最終ステップであり、治療成果を長期間保つために欠かせません。

歯が元の位置に戻らないようにするため、適切な保定装置(リテーナー)を選び、歯科医師の指導に従って正しい装着を続けることが重要です。

8.まとめ

矯正治療後の保定は、治療の成功を維持するために欠かせないステップです。

保定装置(リテーナー)の種類、費用、装着期間、そして外れた場合の対処法、MRI時の注意などをしっかりと理解し、歯科医師と連携して長期的に歯の健康を守りましょう。

保定をしっかり行うことで、美しい歯並びを長く保つことができます。

当院では、一人ひとりの患者さんに最適な矯正治療を提案し、治療中も患者さんが相談しやすい快適な環境を作るよう心掛けています。

矯正治療に興味のある方はお気軽にご相談ください。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

この記事を読んだ方が、より良い矯正治療を受けられることを願っています。

今後もどうぞご贔屓ご鞭撻のほどを。

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