こんにちは、岡山県岡山市にある岡山矯正歯科の院長、田川淳平です。
今回はMSEについてのお話。
MSEとは?
歯列矯正を考える際に、最適な治療法を選ぶことは非常に重要です。
その中でも、「MSE」は新しい技術の装置として注目されています。
MSEは略語であり、正式にはMaxillary Skeletal Expansionの略であり、MARPE(Mini-Screw Assisted Rapid Palatal Expansion)に用いる装置の名前です。
MSEは、矯正歯科において使用される装置の一つで、歯科矯正用アンカースクリューを併用して上アゴの骨を横に拡げることが可能です。
この装置は、従来の拡大装置と比較して、より効果的に上アゴを拡げることができます。
本記事では、MSEによる治療のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
MSEのメリット
1. 効果的な上顎拡大
矯正治療で用いる拡大装置は、左右の歯と歯の距離を拡げることで歯が並ぶスペースを増やし、ガタガタをほどきます。
MSEは歯だけでは無く、上アゴの骨を効果的に外に拡げることができるため、歯を並べるためのスペースは、従来の拡大装置よりも大きく増やすことができます。
クワドヘリックスや拡大床などの従来の拡大装置では主に歯を動かしていくため、拡げられる量は少なく、拡げ過ぎてしまうと歯は外に傾いて噛めなくなってしまうことも。
また、従来の拡大装置の1つである急速拡大装置という装置は、歯だけでは無く、上アゴの骨を外に拡げることができるのですが、急速拡大装置が骨を拡げることができるのは10代までのお子さんだけでした。
MSEは新しい装置なのですが、歯科矯正用アンカースクリューという骨に埋めるネジを併用することによって、20代以上の大人の方でも上アゴの骨を外に拡げることができるようになる装置です。
特に、元々奥歯の嚙み合わせが反対噛みになってしまっているような方に使用することができると効果が抜群です。
従来の拡大装置では難しかった場合でも、MSEは優れた結果をもたらします。
2. 短期間での効果
従来の拡大装置に比べ、MSEは短期間で効果を実感できるため、忙しい患者さんにとって、治療期間が短縮されるメリットがあります。
3. 成人した患者にも適用可能
MSEは、成人した患者にも適用可能であり、効果的に上アゴを拡げることができます。
一般的には従来の拡大装置では骨を拡げることはほとんどできず、急速拡大装置を成長期の子供に用いた場合にのみ骨の横幅を拡げることができていました。
しかしながら、MSEを用いると成人した患者の骨の幅も拡げることができます。
また、成長期の子供に対しても、安全で効果的な治療法として使用されています。
MSEのデメリット
1. 不快感や痛み
上アゴを覆うような形態の装置であるため、装置装着からしばらくはどうしても違和感や不快感が伴うことがあります。
また、拡大している最中にはある程度の痛みを伴います。
2. 定期的な調整が必要
MSEによる治療は、定期的な通院と調整が必要です。
スタートしてからしばらくは週に1度の来院をお願いしています。
3. 特定の症例に限られる
MSEはすべての患者に適用できるわけではありません。
特定の症例や骨の状態によっては、他の治療法が適している場合もあります。
矯正医との相談を通じて、自分に最適な治療法を見つけることが重要です。
MSEの治療プロセス
1. 初回カウンセリング
まずは初回カウンセリングを受けていただきます。
カウンセリングでは、患者さんの口腔内の状態を詳しくチェックし、現在の状態と必要な矯正治療についてご説明します。
その際にMSEが適しているかどうかも判断します。
また、治療の流れや期間、費用についても詳しくご説明します。
2. 精密検査と診断
カウンセリング後、精密検査としてX線撮影や口腔内スキャンを行います。
その後に検査の情報を基に詳細な診断を行い、治療計画をご説明します。
3. 治療開始
MSEが必要と診断され、治療が開始されると、MSEがミニスクリューを併用して上顎に装着されます。
この際に軽い痛みや不快感を感じることがありますが、数日で慣れてきます。
装置の調整は定期的に行われ、治療の進行状況を確認します。
4. 治療の進行と調整
治療の進行に伴い、定期的な調整が必要です。
スタートしてからしばらくは週に1度の来院をお願いしており、上顎の拡がり具合や装置の状態を確認します。
調整を適切に行うことで、治療効果を最大限に引き出すことができます。
MSEによる拡大が効果を発揮した後に、ワイヤーやアライナーなどの歯を並べる装置を装着していきますが、拡大した部分が戻らないようにMSEはしばらくの間は装着したままにします。
5. 治療完了とメンテナンス
治療が完了すると、矯正装置を取り外します。
治療後もメンテナンスが必要であり、保定装置(リテーナー)を使用して、ガタガタに戻らないように維持します。
また、定期的な検診を受けることで、治療後の状態を確認し、問題が発生した場合には早期に対応します。
まとめ
MSEは、効果的な上顎拡大を実現する新しい矯正技術です。
短期間に効果を得られる一方で、装置の大きさによる不快感やアンカースクリューの埋入が必要といったデメリットもあります。
治療を始める前に、メリットとデメリットをしっかり理解し、自分に最適な治療方法を選ぶことが重要です。
岡山矯正歯科では、患者さん一人ひとりに合わせた最適な治療を提供しています。
MSEに関するご質問やご相談は、ぜひ当院までお気軽にお問い合わせください。
皆さまの笑顔をサポートするために、全力でお手伝いいたします。