こんにちは、岡山矯正歯科の院長 田川 淳平です。
成人になってからの矯正治療は、単に見た目を整えるだけではなく、健康やライフスタイルにも大きな影響を与えます。
子どもの頃に矯正を受ける機会がなかった方や、年齢を理由に矯正を諦めていた方も、近年の技術の進化によってさまざまな選択肢が広がっています。
例えば、マウスピース矯正(インビザラインなど)は、目立たず日常生活に支障をきたしにくい矯正治療法として注目されています。
大人の矯正治療には、見た目のコンプレックスを解消するだけでなく、噛み合わせの改善や口腔内の健康維持といった多くのメリットがあります。
しかし、矯正治療には時間や費用がかかるため、そのメリットとデメリットをしっかり理解しておくことが重要です。
本記事では、成人矯正の基本情報やメリット・デメリット、治療費用や期間について詳しく解説します。
矯正治療を検討されている方にとって、正しい選択をするための参考になれば幸いです。
- 成人矯正とは?
- 成人矯正のメリット
- 成人矯正のデメリットとリスク
- 成人矯正の費用と期間
- 成人矯正を成功させるポイント
- まとめ
- よくある質問(FAQ)

1. 成人矯正とは?
成人矯正は、歯並びや噛み合わせを改善するために大人が行う矯正治療のことを指します。
子どもの矯正と比べて、大人は顎の成長が完了しているため、治療の進め方が異なる点が特徴です。
成人矯正が注目される理由の一つは、歯並びの美しさが自信につながるだけでなく、歯の健康維持にも寄与するためです。
例えば、歯並びが悪いと歯磨きがしにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まる場合もあります。
また、噛み合わせの問題によって歯に大きな負担がかかってしまったり、歯槽骨と言う歯を支える骨に過度な負担がかかってしまうこともあります。
さらに、最近では技術の進化により、大人でも始めやすい矯正治療方法が増えています。
特にマウスピース矯正(インビザラインなど)のような目立たない矯正装置や、舌側矯正(リンガル矯正)などは、ビジネスシーンでも安心して使用できるため、社会人にも人気があります。
成人矯正には、以下のような矯正治療法があります。
- ワイヤー矯正:従来の矯正方法で、歯にブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯を動かします。
- インビザライン(マウスピース矯正など):透明なマウスピースを使用し、目立ちにくく取り外し可能な矯正方法です。
- 舌側矯正(リンガル矯正):歯の裏側に装置をつけるため、外から見えにくいのが特徴です。
- 部分矯正:全体ではなく前歯など特定の部分のみ矯正する方法で、短期間で治療が完了することもあります。
成人矯正を選ぶ際は、ライフスタイルや治療の目的に合わせて、適切な矯正方法を選択することが重要です。
2. 成人矯正のメリット
成人矯正のメリットは、見た目の改善にとどまらず、健康や日常生活にも大きな影響を与えます。
近年、成人の矯正治療を希望する人が増えているのは、矯正による恩恵が多方面に及ぶためです。
2-1. 自信の向上
整った歯並びは笑顔に自信をもたらします。
特に人前に出るお仕事をしている方や、接客業、営業職などでは、第一印象が重要です。
歯並びが気になることで笑顔を避けていた方も、矯正治療を受けることで積極的に笑顔を見せるようになり、心理的な満足度も向上します。
2-2. 口腔内の健康向上
歯並びが悪いと歯磨きがしにくく、磨き残しが多くなることもあります。
その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まることもあります。
このため、矯正治療によって歯が綺麗に並ぶことで、歯磨きがしやすくなり、口腔内の健康が向上することもあるわけです。
さらに、正しい噛み合わせによって、歯や歯を支える骨への過度な負担が少なくなり、長期的に歯を健康に保つことができる場合もあります。
2-3. 噛み合わせの改善
歯並びが乱れていると、食べ物をしっかり噛むことができず、消化に悪影響を与えることもあります。
矯正治療を行うことで、適切な噛み合わせに改善され、全身の健康維持に繋がることもあります。
2-4. 発音の向上
歯並びが発音に影響を与えることもあります。
特に「サ行」や「タ行」の発音が苦手な方は、歯の位置が原因である可能性もあります。
矯正治療によって適切な歯の位置に調整されることで、発音の改善が期待できる場合もあります。
2-5. 将来的な歯の健康維持
歯並びが悪いと、特定の歯や歯を支える骨に過剰な負担がかかり、長期的には歯の寿命を縮める可能性があります。
矯正治療を受けることで、歯の負担が均等になり、歯を健康に保ちやすくなる場合があります。
さらに、歯の喪失を防ぐための予防策としても成人矯正は有効なことがあります。

3. 成人矯正のデメリットとリスク
成人矯正には多くのメリットがありますが、治療を始める前にデメリットやリスクについても理解しておくことが大切です。
3-1. 治療期間が長い
成人の矯正治療は一般的に1.5〜3年程度かかります。
子どもと比べて骨の作り替えが遅いため、歯が動くスピードが遅くなるのがその理由です。
矯正治療期間中は定期的な通院が必要であり、治療計画をしっかり守ることが求められます。
3-2. 費用が高い
矯正治療は基本的に保険適用外の自費治療であり、数十万円から百万円以上の費用がかかることがあります。
治療方法によって費用は異なりますが、長期的な投資と考えることが重要です。
毎月の費用を抑えるために、クリニックによっては分割払いの対応をしている場合もあります。
3-3. 一時的な痛みや違和感
矯正装置を装着すると、歯が動く際に痛みを感じることがあります。
また、装置が口内に当たることで違和感を覚えることもあります。
しかし、ほとんどの人は数週間で慣れ、日常生活に支障が出ることは少なくなります。
3-4. 虫歯や歯周病のリスク
矯正中は装置があるため、通常よりも歯磨きが難しくなります。
食べかすが残りやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まるため、矯正用の歯ブラシやフロスを活用し、適切なケアを行うことが重要です。
3-5. リテーナー(保定装置)の使用が必須
矯正治療が完了した後も、後戻りを防ぐためにリテーナーを一定期間装着する必要があります。
リテーナーを怠ると、せっかく整えた歯並びが元に戻る可能性があるため、歯科医師の指示に従って適切に管理することが求められます。
成人矯正には多くのメリットがありますが、デメリットやリスクも踏まえた上で治療を検討することが大切です。
矯正歯科医と相談し、自分に合った治療方法を選択しましょう。
成人矯正を受けることによって得られるメリットは多岐にわたります。
見た目の改善だけでなく、健康面にも大きなメリットがあるため、多くの人が矯正治療を決断しています。

4. 成人矯正の費用と期間
4-1. 成人矯正の種類
成人矯正にはさまざまな治療方法がありますが、それぞれの費用や期間を理解することが重要です。
矯正方法 | 費用(目安) | 治療期間 |
ワイヤー矯正 | 70万〜120万円 | 1.5〜3年 |
インビザライン | 90万〜150万円 | 1.5〜3年 |
舌側矯正 | 100万〜150万円 | 2〜3年半 |
部分矯正 | 20万〜50万円 | 6か月〜1年 |
ワイヤー矯正は一般的に費用が抑えられる一方で、見た目が気になる方には向いていません。
インビザラインなどのマウスピース矯正は目立ちにくく取り外し可能ですが、適切に装着しないと効果が得られにくくなります。
舌側矯正は審美性が高いものの、費用が高額になりやすい傾向があります。
4-2. 矯正治療の追加費用
矯正治療には、基本料金以外にも以下のような費用がかかることがあります。
- 初診・カウンセリング料:無料〜5,000円程度
- 精密検査料:3万〜5万円
- 装置調整料:月々3,000円〜1万円
- 保定装置(リテーナー)費用:2万〜10万円
4-3. 分割払い・医療費控除の活用
矯正治療は高額になりやすいため、クリニックによっては分割払いが可能な場合があります。
また、医療費控除を活用すれば、支払った金額の一部が所得税から控除され、実質的な負担を軽減できます。
5. 成人矯正を成功させるポイント
成人矯正を成功させるためには、適切な矯正歯科を選び、治療計画をしっかり守ることが重要です。
治療が長期間に及ぶため、途中で諦めてしまわないよう、以下のポイントを押さえておきましょう。
5-1. 信頼できる矯正歯科を選ぶ
矯正治療は数年にわたるため、専門の矯正歯科医を選ぶことが重要です。
日本矯正歯科学会の認定医や専門医の資格を持つ矯正歯科医師を選び、カウンセリングをしっかり受けて自分に合った治療計画を立てましょう。
5-2. 口腔ケアを徹底する
矯正中は装置が邪魔になり、歯磨きが難しくなります。
専用の矯正用歯ブラシやデンタルフロスを活用し、虫歯や歯周病を予防しましょう。
また、フッ素入りの歯磨き粉を使うと効果的です。
5-3. 生活習慣の見直し
矯正治療中は、硬いものや粘着性のある食べ物(キャラメルなど)を避けることが推奨されます。
特にワイヤー矯正の場合、装置が外れる原因になることがあります。
また、喫煙や過度なアルコール摂取は歯や歯茎に悪影響を与えるため、できる限り控えましょう。
5-4. 定期的な通院を続ける
矯正治療は定期的な調整が必要です。
通院を怠ると、治療計画がずれたり、治療期間が長引いたりする可能性があります。
特にマウスピース矯正の場合、決められたスケジュールで新しいマウスピースに交換しないと、治療効果が十分に得られません。
5-5. 保定装置を適切に使用する
矯正治療が終わった後も、歯並びを維持するために保定装置(リテーナー)の使用が必要です。
リテーナーを適切に装着しないと、後戻りしてしまう可能性が大きいです。
矯正治療が完了しても、数年間はリテーナーを着用することが推奨されます。
成人矯正を成功させるには、治療中のケアと定期的な管理が欠かせません。
自分のライフスタイルに合った治療方法を選び、無理なく継続できる環境を整えることが大切です。

6. まとめ
成人矯正は、見た目の改善だけでなく、噛み合わせの向上にも大きな効果をもたらし、健康にも影響する可能性があります。
矯正治療を受けることで、正しい噛み合わせにすることで咀嚼能力を向上させることができますし、歯磨きが簡単になると虫歯や歯周病のリスクが減る場合もあります。
さらに、矯正治療を通じて笑顔に自信が持てるようになり、心理的な満足度が向上するというメリットもあります。
見た目だけでなく、健康面や生活の質の向上にもつながるため、多くの成人が矯正治療を選択しています。
一方で、矯正治療にはデメリットもあります。
費用や治療期間、痛み、ケアの手間など、矯正治療を始める前にしっかりと理解しておくべきポイントが多くあります。
しかし、信頼できる矯正歯科医を選び、適切なケアを行うことで、多くのデメリットを軽減することができます。
矯正治療を検討している方は、自分のライフスタイルや予算、希望する治療方法を考慮しながら、最適な選択をしてください。
まずは矯正歯科の専門医に相談し、自分に合った矯正治療方法を見つけることが大切です。
7. よくある質問(FAQ)
成人矯正を検討している方の多くが疑問に思う点について、詳しく解説します。
矯正治療を始める前にしっかりと理解し、不安を解消してから治療を進めましょう。
Q1. 成人矯正は何歳まで可能ですか?
A. 成人矯正には基本的に年齢制限はありません。健康な歯、歯を支える骨と歯茎があれば、何歳でも矯正治療を受けることが可能です。ただし、歯周病の進行が見られる場合は、事前に治療が必要になることがあります。
Q2. 矯正中に痛みはありますか?
A. 矯正装置を装着した直後や調整後は、歯が移動する際に歯の痛みを感じることがあります。しかし、通常は数日で痛みが消失するため、大きな問題にはなりません。痛みが強い場合は、痛み止めの服用や、柔らかい食べ物を摂ることで対処できます。
Q3. 目立ちにくい矯正治療方法はありますか?
A. 目立ちにくい矯正治療方法として、インビザラインなどのマウスピース矯正や舌側矯正(リンガル矯正)があります。特にマウスピース矯正は透明なマウスピースを使用するため、日常生活でほとんど目立ちません。
Q4. 矯正後に歯並びが戻ることはありますか?
A. 矯正後に歯並びが戻る「後戻り」を防ぐためには、リテーナー(保定装置)の使用が必要です。治療完了後もしばらくは毎日1日中装着し、その後も指示された期間は夜間のみ装着することが推奨されます。
Q5. 成人矯正の費用を抑える方法はありますか?
A. 費用を抑えるためには、分割払いの利用や、医療費控除を活用する方法があります。また、クリニックによっては部分矯正という選択肢もあり、特定の部分だけを治療することで費用を抑えることが可能です。
Q6. 矯正治療中に注意すべきことは?
A. 矯正治療中は虫歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧な歯磨きを心がけることが重要です。また、装置に負担をかける可能性がある硬い食べ物や粘着性のある食品(キャラメルなど)は避けるようにしましょう。
矯正治療は長期間にわたるため、しっかりとした情報収集を行い、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
気になる点があれば、矯正歯科医に相談し、納得した上で治療を開始しましょう。
当院では、一人ひとりの患者さんに最適な矯正治療を提案し、治療中も患者さんが相談しやすい快適な環境を作るよう心掛けています。
矯正治療に興味のある方はお気軽にご相談ください。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
この記事を読んだ方が、より良い矯正治療を受けられることを願っています。
今後もどうぞご贔屓ご鞭撻のほどを。